2017/01/25

デニス・ストック 1/2 : ジェームズ・ディーン


須賀敦子の書いた小文に「雨のなかを走る男たち」というのがあって、傘をささず、衿をつかんで、肩をすぼめながら雨のなかを走り去る男たちの姿が描かれている。記憶のなかにあるヨーロッパの街角や映画のシーンなかなどに、そうした姿を思い浮かべることはできるだろう。



デニス・ストック(Dennis Stock,1928-)というアメリカの写真家がいる。彼の撮ったジェームズ・ディーン(James Dean)の写真にも、そういうのがあったような。探してみると、衿をつかんでいるのではなく、コートのポケットに手を突っ込んで、肩をすぼめているものだった。

ジェームズ・ディーンはまだ若く、その雰囲気も甘すぎるという面はあるが、それが甘美な情感を生んで、雨のなかに少年っぽい男のリリシズムを残している。この写真家の特質が、被写体の個性とうまくマッチした作品だ。

デニス・ストックは、1928年ニューヨークに生まれた。51年に「ライフ誌」のコンテストで新人賞を受賞。最年少の受賞ということで、話題にもなったことだろう。その年、彼はマグナム・フォトに参画している。
ジェームズ・ディーンと知り合ったのは55年。ストック27歳、ディーン24歳のことだ。ストックは報道写真家として、すでに一定の成功はおさめていた。一方、ディーンも「エデンの東」によって一躍脚光を浴びていた頃で、ふたりは意気投合したようだ。写真を見ても、若いふたりの、どこか稚気を残した真摯さを感じます。 (つづく)

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