2015/07/15

ストロイリと都市生活者 (下)


ベアト・ストロイリは1957年、スイスの「古い町」(Altdorf)という名の町で生まれた。都市生活者を撮りはじめたのは80年代に入ってからで、20代の頃からかなり意識的に都市生活者をテーマにすえている。現在はドイツのデュッセルドルを拠点に活動している。


撮影された写真は晴天の日が多く、強い日差しとビルディングの濃い影によってその画面は強いコントラストを描き出している。それはあきらかに意図的なもので、都会のもつ二極性がそこに投影されていると見ていいだろう。そのなかで、どこへともなく急ぎ足で歩き過ぎてゆく人々の姿は、都市の構造物以上に都市そのものを体現していているような気がしてくる。じっと見ていると、音を失ったその画像は、まるで分厚い防音ガラス越しに眺める都市の光景であるかのようだ。
生きられる空間でありながら、それらはクールで抽象的な印象があります。

90年代半ば以降は、路上ポートレイト作品を液晶プロジェクターで大画面に映しだすほか、公共空間での巨大パネル展示などインスタレーションを数多く展開している。量としてその作品を見せつけられると、個々の作品に漂っていたある種の静謐さは影を潜め、都会の喧騒や人々の発するエネルギーが圧倒的な迫力をもって迫ってくる。撮影者自身もおそらくそのことに充分意識的であるのだろう。そして観る者はその両者を、すなわち熱くそして冷えている様を、あたかも自らを感じるようにして受けいれるべきなのかもしれない。(了)

■写真集
      

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