2015/01/15

マチュー・ベルナール・レイモンの仮想空間

マチュー・ベルナール・レイモン(Mathieu Bernard-Reymond, 1976-) の写真作品は、複数の場面が巧妙なコンピュータ技術によって一枚の画面に合成されている。それはよく観察するとすぐにわかることだが、技術そのものよりもその技術によってもたらされた不思議な感覚に言及するのが本筋だろう。

ある空間のなかに配置された人々。背景となる空間は自然の風景であったり人工の風景であったりするのだが、いずれにせよ作り物のようで、自然光までもが蛍光灯の明かりのように見えたりもする。画面は全体的に白っぽく、これも現実感を希薄にしている。
さらに、そこに登場する人々はたいてい男たちで、これがどこか人形のようであり、生命感が乏しい。それもそのはずで、男たちは複製でありクローンだ。レイモンはコンピュータによって、同じ男を同一画面に登場させている。そうすることで、時間の経過を二次元空間にもちこみ、それによって違和感を演出している。


ガラス越しの雨の風景は、ゆがんで原型をとどめず、これもリアルであることを否定しているかのようだ。しかし、むしろそうした風景に私たちは慣れてしまって、それを現実と感じているのかもしれない。その不思議な気配には肉体を欠いたエロティシズムのようなものが漂い、それは生の対極にあるタナトスの表現なのだろう。

経歴をたどれば1976年フランス生まれ。グルノーブル政治学学校を卒業後、ヴヴェイ・アートスクールで写真を学んでいる。2001年にモントル・エルム写真賞、03年にCCF財団写真賞を受賞。現在はスイスに暮らしている。

■写真集
Mathieu Bernard-Reymond: TV
Oeuvres
Trait Des Propri T S Communes Toutes Les Courbes: Suivi D'Un M Moire Sur Les Clipses de Soleil

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