2012/06/03

本城直季、真実のジオラマ 2/2

(承前)
本城直樹は 1978年の東京生まれ。東京工芸大学の大学院でメディアアートを研究し、その後、この独特の手法で人気を集めた。2004年に初夏のスウェーデンを撮った写真展覧会「swedish style」、05年には小学校の運動会を写した「small garden」を開催している。

現代の都市は、たしかに本城の撮る写真のようにどこかウソっぽさが漂っている。それは撮影者本人も充分に意識していることだろう。しかし、そのウソっぽい都市が模型ではなく、まぎれもない現実であることもまたたしかだ。どうも記号論がもてはやされたあたりから、現実の模型化、いわばヴァーチャル化が進んできたような気もする。

問題視され始めたのは、バブル後あろうか。仮想化、フロー化、再魔術化などという言葉も流布した。ドイツの現代写真などをみても、ここに焦点をあてた作品作りは盛んだ。歴史を見つめ続けてきたドイツがこの問題にいきあたるのはわかる気がするが、21世紀になったあたりから多くの写真家たちが北欧の風景に仮想性を求めたことが、気になる。
自然との融合を巧みにデザインや街づくりに取り込んできた地域だというのに、その景観が日本の郊外風景とどこか似たところがあるのは興味深い。

本城は14歳で母親を亡くし、家にいるのが辛くて夜の街を自転車でさまよったという。すると、そそり立つ建築物が押し迫ってくるように感じられて、以来、都市に違和感を抱き続けているそうだ。その感覚が一連の作品に結びつくまでには長い道のりがあって、本質は不思議な謎に包まれている。
謎といえば、彼の写真を見ていると、木々や芝を写した緑が妙に鮮やかな色をしていることに気づく。自然が自然らしさを主張するために、ウソっぽいほどの色を放射する姿。これもやはりなんだか謎に包まれていて、その謎めいたもの、ねじれたものをどこかに感じていると、これらのウソっぽい本物から目が離せなくなってしまう。 北欧の景観との関係も、どこかこの謎めいたところに鍵がありそうな気もする。

small planet
TREASURE BOX

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