2011/10/17

中條均紀と山古志村


中越地震で大きな被害を受け、その名を知られた新潟県山古志村は、同県屈指の豪雪地だ。その雪も溶け、5月の節句のころになると、この村が日本有数のこいのぼり産地であることを思い起こす。さらに、梅雨の季節には、山を切り開いてつくった棚田がなみなみと水をたたえ、この村にまるで箱庭のような美しさをもたらしてくれる。
一説によれば、古志とは、周辺の集落から離れてある村をさすとか。その地理的要素が、この村の美しさを保ってきたのかもしれない。

同県三条市に生まれ、食品会社の研究所に勤める中條均紀 (Masanori Nakajo,1952) は、長年この村を撮り続けてきたアマチュア写真家だ。その写真集は3冊を数え、2004年には第14回林忠彦賞を受賞した。手にとれば、この村の居住まいが、そこで暮らす人々の姿とともに、美しいカラー写真に収められている。それらはまるで、繊細な硝子球のなかに設けられた桃源郷のようでもある。

地理学者イー・フー・トゥアンは、人間と場所や環境との感情的な結びつきを「トポフィリア」(場所愛)と呼んだ。中條の写真もまた風景というものを通して、愛情がひしひしと感じられる。奈良を撮り続けた入江泰吉 (1905-92) にも通じる写真だ。

山古志村ふたたび―中越地震復興応援写真集
古志の里〈2〉中条均紀写真集
 

0 件のコメント:

コメントを投稿