2011/10/07

土田ヒロミの新・群集とは?

写真家土田ヒロミ (Tsuchida Hiromi,1939-) の新刊『新・砂を数える』を見ている。
かつて日本の風土にこだわって写真集『俗神』を撮り、つぎに群集に目を向けて日本人の姿を追ったのが『砂を数える』だった。『新・砂を数える』はそのタイトルが示すように、これらの延長線上にあるものと考えていいだろう。

ただ、土田は時間を隔て、モノクロをカラーに置き換え、視点をやや俯瞰にし、さらにはデジタル処理を施すことで、現在の群集のなにを撮りたかったのか。写真を見ていても、どうもそれがストレートに響いてはこない。ベタッとした色使い、遠近感覚の麻痺、それらはスーパーフラットを模した風にも受けとれる。だが、やはり土田の持ち味であった実存的な存在感はそこからも漂ってきて、昨今の写真表現とは根本的になにかが違う。それは技法という以上に、おそらくはいま目の前のある空間の把握の仕方が異なるからなのだろう。

土田の写真を見る限り、群集は変質しているというふうには感じられない。たしかに前回の写真では、群集としての無気味さと同時に、個々の人間の存在感もある圧力をもって見る者に訴えかけるものがあった。その力は弱まり、群集の漠然とした無気味さは増したように感じらる。しかし、それだけだと、あえて“新”と銘打つには、どうも頼りないような気がしてならない。




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