2010/09/06

緑川洋一、豊饒の海 1


のどかな内海に牡蠣筏が浮び、漁船のエンジン音が聞こえる。海岸線は複雑で、島が多く、日の出や夕暮れ時には、光の具合で海は刻々と表情を変える。瀬戸内の光と色彩に満ちた風景写真で知られる緑川洋一(Midorikawa Youich, 1915-2001)は、ここ、岡山県の虫明に生まれた。

中学の頃に、図画が大好きで絵描きになりたいと父親に申しでたが、認められなかった、と緑川は書き残している。生家は呉服商を営んでいた。その後、緑川は東京の歯科大学に進み、そこで写真と出会った。といっても、趣味の模型飛行機を撮影したいというのが始まりで、友人に借りたカメラをどう扱っていいかもわからず、レンズ開放 1/50で撮れといわれ、なにもわからぬまま撮影した写真に、模型飛行機がはっきりと写っているのを見て夢中になったという。

医師免許を取った緑川は故郷に戻り、1937年に横山歯科医院を開業する。生来の名は横山知だが、このころより緑川洋一の名で写真雑誌への投稿をはじめた。後年、歯科医院の名も緑川に改め、戸籍まで変更している。

写真雑誌への投稿だが、これは最初から評価され、だせば入選もしくは佳作となった。同郷で写真雑誌編集者だった石津良介のすすめで、戦時中は農村部のドキュメンタリー写真などを撮っている。その後、大阪の下町に目を向けたり、ヌード写真を撮ってみたりと手を広げるが本人としては思うような作品が仕上がらない。たしかに知るかぎりでは、女性を撮った作品などは平板なイメージで、なにを撮りたかったのかがよくわからない。
ただ、この模索時代に米子の植田正治をはじめ、東京の秋山庄太郎や林忠彦らと親交を厚くしたことが、その後の制作活動には大きな意味を持ったことだろう。 (つづく)

4 件のコメント:

  1. はじめまして。いつもこのブログを拝見させていただいております。自分の知らなかった芸術家たちのことも知ることができ、とても勉強になります。いつもありがとうございます。

    返信削除
  2. Nemoさん こんにちは
    コメントありがとうございます またちょくちょく寄っていただければ嬉しいです 

    返信削除
  3. はじめまして。
    以前のブログから大変興味深く拝見しておりました。
    再開されて大変嬉しいです。
    もしよろしければ、当方のブログにリンクを貼らせて頂きたいです。失礼します。

    返信削除
  4. イシイヨシト 様
    はじめまして コメントありがとうございます
    凄い絵ですね web上なので詳しくは見えませんが
    これはペン画ですか 迫力でした
    リンクはこちらこそ感謝します

    返信削除