2010/07/20

ボルツ、場所の美学とその後 2


写真集を出版する前年、すなわち1973年のことだ。オンタリオ湖の南岸、ニューヨーク州ロチェスターにあるジョージ・イーストマン・ハウス国際写真博物館で「ニュー・トポグラフィクス」展が開催されている。
ロチェスターは19世紀に米国史上最初の「急成長都市」としても知られた街で、ここで同展が開かれたこともなにか因縁めいている。展覧会はウィリアム・ジェンキンスによって企画され、副題には「人間が変えた風景の写真」(Photographs of a Man-Altered Landscape)と記されていた。10人の写真家たちが作品をだし、ボルツもそのひとりだった。

西井一夫は「アダムス的大風景に影をとしている“国家権力”“愛国心”といった背後に隠されたものから距離を置くスタンスがニュー・トポグラフィクスの写真を通底する」と書いている。一連の作品群は、T・オサリヴァンら西部開拓時代の地理的写真の系譜からしばしば言及される。地理的というのは空間・場所を意味すると同時に、その客観的視線を大きな特徴としたものだ。アンセル・アダムスのような自然礼賛、無人の風景へのロマンティックな憧憬の排除ともいえる。しかし、その根底にあるのは大地への拘りだろう。観察、憧憬、記録・・・・・形を変えながらそこに美を見いだそうとする。これはアメリカ的な視線といえるだろう。

ボルツの仕事はその後、郊外開発を扱った『ネバダ』『パーク・シティ』を経て、刑務所跡の荒地を撮った『サン・クエンティン・ポイント』、軍港跡地を写した『キャンドル・スティック・シティ』へと展開する。そっけないほどの冷淡さで、これらの風景は見る者の前に晒される。 (つづく)


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